NHLの特徴

NHL(天然水硬性石灰)の特徴

NHL(天然水硬性石灰)とは

NHL(天然水硬性石灰)はNatural Hydraulic Limeの略称で、粘土質の石灰石を焼成して得られる水硬性石灰の一種です。 水と混合することで短期間に硬化し、さらに空気中での二酸化炭素との反応により、完全に硬化します。 また、硬化した後は再び石灰石(CaCO3)に戻るため、リサイクルが可能です。

水硬性石灰と気硬性石灰の違い

石灰は原料となる石灰石の違いによって、主に気硬性石灰と水硬性石灰※とに分けられます。 日本で生産されてきた石灰は、石灰石の純度が高い気硬性石灰のみであり、水硬性石灰のように水では硬化しません。

気硬性石灰(日本で一般的に”消石灰”と呼ばれているもの)は空気中の二酸化炭素のみによってゆっくりと 硬化する性質を持ち、建材としては角又と呼ばれる糊や植物繊維を混合することで漆喰として用いられてきました。

漆喰は施工期間を長く要し、手間もかかることから、現在では非常に少なくなってきており、 セメントや科学糊を混入した既調合材あるいはパネルを用いた乾式工法などに変わってきています。

これら新建材が現れ、工業化の波の中で利便性の向上につながっていますが、 現在ではアスベストの問題を例に、環境や健康に対する建材の問題が表面化してきています。

水硬性石灰は、古くギリシャ・ローマ時代から使われてきた建築材料です。 水硬性による高い強度があるので、骨材以外の化学糊等の添加を必要としません。 そのため、石灰の持つ環境性能を十分に発揮します。 環境問題への意識の高まりのため、ヨーロッパでは近年積極的に利用されています。

わが国では、これまで水硬性石灰の製造や使用の歴史はありませんでしたが、 水硬性石灰の優れた環境性能と施工性を日本の皆様にもお届けするために、 クスノキ石灰株式会社が日本に導入しています。

※気硬性:二酸化炭素で硬化する性質
水硬性:水で硬化する性質

気硬性石灰、NHL、セメントの比較
気硬性石灰 NHL
(天然水硬性石灰)
セメント
規定強度(28日圧縮) なし 中強度 (2~10N/mm2 ) 高強度 (18~24N/mm2 )
原材料 石灰石 珪質石灰石 石灰石・粘度・石膏など
製造入熱 1000℃前後 1100℃前後 1450℃前後
組成構造 粒状 粒状 針状
環境特性 吸放湿性能 中 吸放湿性能 大 吸放湿性能 低
CO2吸着量 中 CO2吸着量 大 CO2吸着量 低
消臭・衛生 消臭・衛生 結露・カビ・白華
色彩 白色 白色・褐色・灰色 灰色
施工特性 糊・繊維を混合(漆喰) 骨材を混合 骨材を混合
薄塗り(~3mm) 薄・厚塗り可(~30mm) 薄・厚塗り可(~30mm)
リサイクル 石灰石(CaCO3)に還元 石灰石(CaCO3)に還元 再生システムが必要
主要な適合規格 JIS A 6902 欧州EN459‐1 JIS R 5201
左官用消石灰 建築用石灰:その1 セメントの物理試験方法

NHL(天然水硬性石灰)の特徴

石灰石の焼成によって得られる消石灰は、図に示す通り、 硬化後は石灰石に再び戻る性質を持っており、完全に還元可能な建材として利用できます。

しかしながら、気硬性消石灰は強度が低く、 硬化時間も長いため、西洋では水で固まる性質を付加した天然水硬性石灰が発明されました。

利用は紀元前のギリシャ時代に遡るのですが、水硬性の機構が見出されるのは18世紀に入ってからであり、これをきっかけに産業革命では完全に水硬性であるセメントが発明されます。 セメントの発明により天然水硬性石灰の生産は急激に減少することになります。

ここ数年、セメントモルタルにより修復された古い石造建築物において、 モルタルの剥離や石の腐敗が確認されてきており、石灰が修復材として指定されてきています。

しかし、昔ながらに気硬性消石灰を用いるのでは、現代において求められる利便性を満足できません。そこで、 水によって短期間で硬化する水硬性石灰の特性や環境性能が見直され、新築建物においても需要が増えてきています。

環境面や耐久性に優れた天然水硬性石灰は、日本においても大いに役立てることができます。 我が国においては、セメントが西欧より導入された経緯などから、天然水硬性石灰はもともと存在せず、その施工法も確立していません。 利用するには技術開発と材料特性の解明が必要となります。

クスノキ石灰では、天然水硬性石灰の開発研究と普及に努力し、社会に貢献したいと考えております。

→NHLの用途